列空間(像)と零空間(核)と正射影行列
今読んでいる論文で重要な概念なので勉強し直しました. 理解に半日かかりました. 途中まで理解できたと思うので忘れないうちに.
行列 を考えます.
Aの列空間は文字通り列ベクトルで張られる空間です. 正確にはピポット列たちで張られる空間ですがここではAはフルランクだとします:
便宜上の零空間を考えます.
さて,今回議論したいのは,元の空間からの列空間およびの零空間への正射影行列はどんな形をしているのか,ということです. ここからは図がないと議論しにくいのですが…
まずはモチベーション.以下の線形方程式を考えます.
これは解をもたないことがあります.どんな時でしょうか? それはがに入っていない時です. そこで,をに最も近い内の点で置き換えてから,これを解くことを考えます. さて,は内の点なので,と書けます. 元の方程式の解の代わりに,の解を求めようということです.
ここで,「最も近い点」とはなんなのかという議論になります. それをここで定義しなければなりません.ここは定義なので納得できなければ,または問題によっては変えても問題はないというわけです.
—ここから例に入ります—
今,とし,ランクは1とします. つまりこの線形変換により内の点は,ある直線上につぶされます. イメージを上に示します.図での直線がです. さてには列が2つありますがそれらは線形従属の関係になっています. 上の図のように,をに垂直に下ろした点をpと定義し,そのような射影,(これを正射影と呼ぶ)をとします. 厳密に,とおくと,とが直交するようにを定めます.
—ここまで例です—
とが直交するという条件はつまり,との基底が直交するということです. の基底はAがフルランクならばその列からなる集合です. よって,とが直交するという条件は以下のように書けます.
これより,
これで代わりの線形方程式が解けました. さらに,
ここから
はの任意の要素をに正射影する行列(正射影行列)だということが読み取れます.
さて,ではからへの正射影行列はどうやって求めるのでしょうか. 実は,とは直交しています. これは結構簡単に証明できます.
とします.このとき,
よって,とは直交しています. さらに次元定理より
なので,の基底が個からなり,の基底が個あるとすると,となります. つまり,任意のは,を用いて,
と表せる.これを変形すると,
よって,からへの正射影行列は,
と表せる.
以下の講義でここに書いてあるようなことが学べます.というよりそっちを見ていただいた方がよいと思います. 自分整理のためのメモでしたー.